二千年の港~博多港ものがたり
第25話~第30話



第25話 6月30日放送

テーマ:第25話は、博多と大陸の交流起源ともいうべき、遣唐使のお話。遣唐使は文化交流の他に『政治のしくみ』も輸入することになりました。その代表的な形が『大宝律令』。
戸籍を作るということはどういうことなのか、日本政治の始まり(?)です

タイトル:ゼイゼイと青色吐息。

SE:CVSのウェルカムチャイム(ピンぽーん)
A:「あ~お腹すいた!」
B:「お給料前はコンビニ弁当で我慢、我慢!」
A:「所持金は・・・100,200,300,と、エーと546円か~きびしいな~!」
B:「あなたは計画性が無いから月末はいっつも!」
A:「ハイハイ!わかってますよ!この546円をいかににして上手に買い物するかが腕の見せ所っと!」
SE:POSの音(PI PI PI)
B:「早くしなさいよ~」
A:「ちょ、ちょっと待ってよ!」
B:「ところで何でレジ(お会計)であんなに手間取ってたのよ~?」
A:「だって~ピッタリの金額かと思ってたのに、消費税のおかげで足らなかったんだもん!もう、税金って何で存在するのかしら~」
B:「今更何言ってるのよ!税金は今から1300年も昔から存在するんだから、愚痴が遅すぎるわよ!!」
A:「1300年前!?それっていつの頃のお話?」
B:「そうね~、事の始まりは博多の港から出ていた「遣唐使」からなんだけど、!」
A:「あ~あの小野妹子ね!」
B:「それは遣隋使!ちょっと時代が違うでしょ!」
A:「その遣唐使が税金の制度を輸入してきたワケ!?まったく余計なことしてくれるわ~!」
B:「何言ってんのよ!遣唐使が政治システムも輸入してくれたからこそ、今の日本があるんじゃない!むしろ感謝しなきゃ!」
A:「そっか~税金のおかげで国家も成立してるワケだしね~」
B:「そういうこと!701年に出来た「大宝律令」が税収システムの基本なのよ!」
A:「まっ、お堅い話はそれくらいにしてお昼にしよ!」
B:「ところで、546円で何買ったの?!」
A:「へっ、へっ、焼きプリンでしょ、イチゴのムースでしょ、ほら、新発売のチョコ!食べる?」
B:「チエ、お菓子とかデザートばっかりじゃない!食事はどうすんの?」
A:「いや、欲しいものを優先して買ってたら、お弁当は買えなくて・・!」
B:「消費税に文句言う前に、あなたの金銭感覚をどうにかしたら!!」
A:「面目ない~!で、一口ちょうだい!」
B:「ダ~メ!!」



第26話 7月7日放送

テーマ:第26話は現代建築の祖(?)とも言える日本の万里の長城のお話。
長城といえば秦の始皇帝でが、日本にもそれを見習って長城を作ろうとした人がいたのです。

タイトル:早く帰ってこい!。

A:「お昼ご飯もたまにはこんな公園でゆっくりするのもいいわね~!」
B:「そうね!新緑をおかずにして、美味しさも倍増ね。」
A:「でも、この公園の周りでも建築ラッシュね!ちょっと興醒めかも・・」
B:「それをいっちゃお終いよ!この福岡がまだまだ発展してる証拠みたいなものだから!!」
A:「な~んか、高層ビルが連なって、現代の万里の長城みたいだね!」
B:「へ~、洒落たこと言うじゃない!でも、ホントにこの福岡に万里の長城があるって話、知ってる?」
A:「何言ってんのよ!万里の長城って言ったら、中国じゃない!いくら私でもそれくらい知ってるわよ!」
B:「正確に言うと、万里の長城を参考にした建造物が福岡の糸島郡にあるの!」
A:「へ~誰が作ったの?」
B:「遣唐使のひとりで吉備真備(きびのまさび)という人が例の万里の長城を見てきて、日本にもこんなものを作りたい!
と思ったらしいの!!」
A:「で、どこに造ったの?」
B:「え~と、糸島郡の伊都(いと※字違いあり)城!つまり、周船寺の裏手の山から雷山にか   けて万里の長城にするつもりで土塁を造ったの!」
A:「でも、土だから結構、もろかったんじゃない?!」
B:「そんな事もないみたい!火山灰と牡蠣の殻を砕いて、今で言うセメントみたいなもので造ってたみたいだから!」
A:「で、丈夫だったの?!」
B:「糸島のほうで発見された当時の瓦が残ってるらしいんだけど、大の男が飛び上がって踏んでもびくともしないらしいわ!!」
A:「へ~、で、その吉備真備という人は万里の長城を完成させたの?~」
B:「いや、造ってる最中に、朝廷から『九州でうろうろしないで、早く帰ってこい!』っておしかりを受けたらしいわ!!」
 SE:携帯電話音(PIPIPI)
B:「もし~もし~、あっ課長!あっ、はい、どうも、すみません、直ぐ戻ります!」
A:「どうしたの?課長が何の用?お昼休みに・・」
B:「昼休みはとっくに終わってるのにどこうろうろしてんだ~って、すごい剣幕よ!」
A:「えっ!ゲッ、もう1時半!もうお昼とっくに終わってるじゃない~」
B:「行くわよ!!」
A:「まってよ~!」



第27話 7月14日 OA

背景:久しぶりに香椎浜にやってきた2人は、景色が随分と変わったことに唖然。
ちょっと時間を空けると、こんなにも街の景色は変わるものだと、ちょっとした浦島太郎気分になってしまいました・・・。

テーマ:第27話は、唐の時代から時を経て明の時代となり、博多の交易船も形を変え大がかりで行く交易から個人で海を渡る交易へと変わっていきます。そんな時代にみんなが知ってるあの話があったのです。

タイトル 忘れっぽい浦島太郎?。

SE:カモメの鳴き声
A:「わ~っ! 久しぶりに香椎浜に来たら随分出来上がってるじゃない!」
B:「ホントねぇ!新しい博多の国際交流拠点、アイランドシティの埋立工事も完成に近づいているみたいに見えるわね!」
A:「完成っていつの事なの?!」
B:「う~ん、どうなんだろう。埋立工事が終わっても建物が出来て、人が住んだりして~街が熟成するまでまだまだかな~!!」
A:「そうね、これから、ちょこちょこアイランドシティを見に来ないと街の景色もどんどん変わっちゃうから、
ちょっとした浦島太郎になっちゃうわ!」
B:「浦島太郎伝説も、この博多だしね!」
A:「え~っ!?浦島太郎って、この博多の人なの?」 
B:「いや、それは、伝説なんで、ハッキリとしてるワケじゃないんだけどね!」
A:「でも、何かしらの説があるワケでしょ!!?」
B:「そうね、遣唐使といった国家規模の交易船時代が終了して、中国も唐から宋、宋から元、そして明といった時代になって・・・」
A:「いわゆる遣明船の時代ね!」
B:「そう、遣明船の時代は大掛かりの船を出航させるんじゃなくて、個人レベルで交易して いたらしいの・・・!」
A:「じゃあ、小さな船だから遭難も多かったんじゃない!?」
B:「そうなの!その遭難した人のひとりが浦島太郎かもしれないのよ!!」
A:「どういうこと?」
B:「遭難した人達は今の朝鮮(韓国)に漂着して、3年も5年も日本に帰る船を探して歩き回って、やっとの思いで帰ってきたの!この人たちが日本に帰ってきて体験談を話したのが浦島伝説の始まりじゃないかって言われてるの!」
A:「何で朝鮮(韓国)の話なワケ!?~」
B:「ほら、乙姫様の格好はチマ・チョゴリに似てるし、竜宮城みたいな建物は韓国にはたくさんあると思わない~?!」
A:「そうか~!!・・・」
B:「それに、今も博多から志賀島に行く船の名前も「うらしま」とか「おとひめ」ってあるじゃ ない!」
A:「それじゃ、私の記憶が時々飛んじゃうっていうのも浦島太郎から始まる博多っ子の伝統なのね~!」
B:「それは生まれつきでしょ!・・・・」
A:「ハイ!!・・・」



第28話 7月21日 OA

背景:町中を歩くいつもの2人、ノースリーブ姿が増えてきたこの季節にいつもと違った光景が・・・。
一世紀前の輸入文化が現代に息づく面白さを話題にします。

テーマ:第28話は、前作に引き続き「遣唐使」のお話です。
遣唐使は具体的には何をもたらしてくれたのか、意外な商品、文化をもたらした日本原産と思われていた輸入品を紹介します。

タイトル:移り気なタトゥー。

SE:街の雑踏
A:「しかし、暑くなったわね~!」
B:「もう、すっかり夏って感じね。」
A:「若い女の子もノースリーブで腕丸出し!・・」
B:「チエもノースリーブにすればいいじゃない!」
A:「い、いや、私はほら、日焼けするし・・・ねっ!」
B:「とか何とか言って、ホントはその立派な二の腕が見せられないんでしょ!?」
A:「う、うるさいわね~!うわっ!、み、見て!あの娘、あれ、タトゥーじゃない!?」
B:「そうみたいね!」
A:「そうみたいって、そんな冷静に!ちょっと~タトゥーなんて度胸あるわねぇ~!?」
B:「何で?あれはシールなのよ!何日かたったら自然にとれちゃうんだから!!」
A:「えっ!シールなの?な~んだ!」
B:「もともと、タトゥーはあの遣唐使が持ち帰ったんじゃないかって言われているのよ!!」
A:「じゃあ、何のためにタトゥーなんてあったのよ!?」
B:「それわね遣唐使の船員たちが航海の安全を海の神様に祈って、悪魔払いをするための方法だったって聞いてるわ!!」
A:「へ~・・・・悪魔払い」
B:「その頃もタトゥーは自分の好きなところに入れてたらしいから、今のタトゥシールの手軽な感覚と似てるんじゃない!?」
A:「それじゃ、私も今年の夏はタトゥに挑戦してみよっかな!?~」
B:「ヘーどんな絵にするの?!」
A:「やっぱり、好きな人の名前かな~・・竹ノ内豊のユ・タ・カとか、最近なら福山雅治でしょ・・最近入籍した反町君
パパになったキムタク・・・滝沢君のたっきーもいいし、色々ありすぎて迷っちゃう」
B:「まったくチエは好みのタイプの人がコロコロ変わるんだから、いっそのこと全部入れちゃえばー!!」
A:「私は耳無法一かい!?」
B:「いいかも・・・・」



第29話 

背景:A子はなぜか浮かれています。普段はサイフは寂しく困窮しているはずなのにウキウキ顔。
そしてなんとA子は引っ越しまで予定している様子。
その金銭環境の豹変ぶりにB子は何やら不審顔。その理由を問いただしてみたところ・・・

テーマ:博多の港は元寇の戦いのほかに秀吉の朝鮮出兵においても戦地に一番近い港として存在していた時期があります。秀吉最大の失敗と言われるこの外交政策は博多の地に何をもたらしたのでしょうか。・・・?

タイトル:最大の失敗。

A:「♪フンフフフフフンフ~ン! 」(鼻歌)
B:「ねえ、最近何でそんなに浮かれてるワケ?!何かいいことあるんでしょ!」
A:「べっ、べっつに~!」
B:「いいから白状なさい!ホントは言いたくてたまらないんでしょ!」
A:「へっへ~!実は引っ越ししようかな~って思って!」
B:「ひっこし~!?チエ、その引っ越し資金はどうすんの~?」
A:「だって、もうすぐボーナスだし、宝くじも買ってるし!準備は万端よ!」
B:「じゅ、準備って、それって捕らぬ狸の皮算用もいいとこじゃない!」
A:「大丈夫だって、ボーナスはまだしも宝くじは5万円分も買ったんだからゼッタイ当たるって!」
B:「5万円!!そのお金はどうしたの?」
A:「なけなしの貯金で勝負よ!」(いきおいよく)
B:「ちょっと~そんなのに期待するなんてやめときなさいよ!」
A:「だいじょ~ぶ!もう何を言おうと買ったんだから遅いわよ!」
B:「あ~あ、何だか秀吉と嶋井宗室とのやりとりみたい・・・。」
A:「なによそれ!」
B:「ほら、豊臣秀吉最大の失敗と言われる『朝鮮出兵』!
あれって博多の大商人嶋井宗室は大反対したらしいわよ!」
A:「なんで反対したの?」
B:「そりゃそうよ!敵の戦力もわかんないのに諸大名には領土は切り取り勝手!何て言った んだから!」
A:「その反対した嶋井宗室は敵の戦力を知ってたって言うの?!」
B:「彼は中国や朝鮮と貿易してたことから秀吉が知らないような情報まで知ってたハズよ!
だから勝ち目はないって判ってたんだと思うな!でも秀吉はその意見には耳を貸さずに
博多の港を軍の港に使った挙げ句自分の力を見せつけようとして佐賀の鎮西町に『名護屋城』を築城して
そこに引っ越して来たらしいから!」
A:「引っ越してきたの?」
B:「そう!何の確証もないのにね!ホント、ダレかさんにそっくりね!」
 SE:オフィス内の音(電話音・話し声 等)
A:「ふえ~ん」
B:「あら、どうしたの?!あっ、そういえば宝くじの発表、今日だったわね!」
A:「この顔見りゃ結果は判るでしょ!あとはボーナスに懸けるしかないよ~」
B:「あっ、追い打ちかけるようで悪いけど、今年うちの会社業績悪かったらしくて、ボーナスカットらしいわよ!!」
A:「な、なんですって~!!」
B:「うそよ!?」



第30話

背景:季節は一年の中で最も暑い日が続く真夏日。特に街中を歩いていると茹だるような熱気が肌にまとわりつきます。
いつもの2人は暑い最中、お得意先へお届け物。いつものごとくグチの多いA子にB子もいつのまにかイライラ・・・。

テーマ:第30話は豊臣秀吉が博多に唯一と言っていい善政をしいた『博多の町割り』についてのお話です。

タイトル:割っていいもの悪いもの。

SE:セミの声・バスの排気音(暑さの効果)
A:「あ~っ!暑いわね~!」
B:「ホントね~。」
A:「天神の街はサハラ砂漠か~!!」(絶叫)
B:「ふ~っ!海にでも行って涼みたいわね!!」
A:「あたしは今すぐビールが飲みた~い!」(絶叫)
B:「ちょっと~大きな声ださないでよ!恥ずかしいわね~」
A:「何でこんなにビルがあるの?みんなクーラーつけてるからその室外機からの熱風が街を暑くしてるのよ!(間)
何でこんなに車が混んでるの?!大型車の排気ガスが街を2~3度高温にしてるののよ!も~どうにかして~!!!」(絶叫)
B:「まあまあ、豊臣秀吉が作った博多の町割りのままだったら良かったのにね!」
A:「町割り?」
B:「九州を制定した豊臣秀吉は博多の商人である嶋井宗室と神屋宗湛にたのまれて博多の町の設計をしたのよ!!」
A:「で、秀吉はどんなふうに作ったわけ?」
B:「博多の町を7本の道、つまり通り筋を明確にしたの!
今でも土居町筋とか祇園町筋とか残ってるけど、かなり考え抜かれた設計だったらしいわ!」
A:「え~っ、秀吉ってそんなすごい技術持ってたわけ?」
B:「長束正家とか黒田如水をはじめとした5人の武将達も手伝って完成したんだけど、
実際に町割の図面をひいたのは、玄蘇(げんそう)というお坊さんだと言われてるわ!」
A:「玄蘇(げんそう)?!はじめて聞くわ、その名前。」
B:「この人は後の名前を西道(せいどう)といって聖福寺の住職になった人らしいから、
この人こそ昔の博多の町を作った人と言えるわね!!」
A:「へ~、で、昔の博多の町はどこらへんが優れていたの?~」
B:「何でも大小の道をうまく組み合わせたり、海風が通りやすいように工夫して夏は涼しく、冬は暖かく、といった町割だったらしいわよ!!」
SE:バスの排気音(暑さの効果)
A:「うわっ・・う~もう、ホントに暑いったらありゃしない!」
B:「ほら、愚痴ってる間にお客さんの会社に着いたわよ!」
A:「あ~涼しい~やっぱりクーラーはいいわね~」
B:「なぁ~によ!さっきまでクーラーの悪口言ってたくせに!!」
A:「博多の街も悪くないわねぇ!!あ~涼しい!」
B:「チエの言う事は道筋がバラバラねぇ・・・・・!!」



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