二千年の港~博多港ものがたり
第19話~第24話



第19話 5月19日放送

テーマ
第19話は、16世紀後半は日本にとって大革命の時期。中央(近畿圏)では天下統一を目指す武将達が上京し、戦国時代もいよいよ大詰めを迎える。そういった時期の九州は、辺境の地といったことも手伝って、同じ国際港町堺とは違い、独自の発展を遂げます。その中でも銀の輸出は世界的に有名に・・・

タイトル:「博多美人は銀を身につけ?。」

●提供クレジット 10゜~ 
SE:街中雑踏(歩道信号音など)
B:「悪いわね!?付き合ってもらって・・。」
A:「でも、今さらシルバーアクセサリーデビューしなくてもいいんじゃない?」
B:「流行ってる時に買っても追っかけみたいでイヤじゃない!?」
A:「てゆうか、シルバーって安モノイメージってない~?」
B:「そんなことないわよ!有名なデザイナーズものなら1点数十万円のネックレスとか指輪とか珍しくないわよ!」
A:「え~!銀製品が~!?」
B:「それに、博多と銀は切っても切れない仲だしね!!」
A:「それ、どういうこと?」
B:「博多を中心とした北九州の守護大名大内義隆は博多の豪商、つまり港湾都市博多を牛耳っていた神屋一族と一緒に、 銀の輸出を盛んに行っていたという記録があるの!」
A:「博多で銀が産出されてたの?・・・」
B:「色々と説はあるんだけど、どうやら、後に【石見銀】と言われる島根県の鷺銅山ってところから産出されてたみたい。当時の足利幕府は、勘合貿易の重要輸出品の銅を献上品として指定していたんだけど、その銅には多量の銀が含まれていたの!
その銀を抽出して精錬する技術を伝えたのが、博多の慶寿と宗丹という2人の人物なのよ!」
A:「けいじゅと、そうたん、か、変な名前!」
B:「その後、博多の港では世界でも有名な銀の取引高の港になったの!」
A:「世界でも有名?」
B:「何せ、当時フィリピンから中国へ出す銀が1300貫くらいだった頃、日本から中国へは、毎年5千貫だったらしいから、その規模がけた違いって感じね!」
A:「5千貫って、今で言うとどれぐらいなの~?」
B:「約18,750キロよ!」
A:「へ~、すごいわね~?」
B:「そんな経歴があって、シルバーは博多の女性なら一つは欲しいとこだけど、博多の街だけ特別に銀製品が安かったらいいのにな~・・」
A:「なにセコイこといってんのよ!」
B:「ところであなたは今日、シルバー買わないの?」
A:「だって、もう、持ってるもん!博多の女性なんだから銀の一つや二つはね!ほら、右奥に1つと左にも2つほど・・」
B:「それは【銀歯】でしょ!」



第20話 5月26日放送

テーマ
第20話は、16世紀後半から17世紀前半にかけて、博多の隆盛記にとって、どうしてもはずせない人物がいます。嶋井宗室なる人物である。宗室は茶人であり商人でもあるといった2面性を持ち、その出身はダレも知らず、中央にも影響を持つ人物として一代にて巨万の富を得たナゾの多い伝説の人。

タイトル:「ナゾは多い方が成功する?。」
  
●提供クレジット 10゜
SE:店内(人の話し声、食器の音など)
A:「もう、くやし~ったらありゃしない!」
B:「でも、チエも気に入らなかったんだから丁度良かったじゃない!」
A:「私より先に断りの電話を入れたのが気に入らないのよ!」
B:「それにしても何で今度のお見合いはダメだったのかな?!」
A:「自己経歴書もバッチリ書いたし、この美貌だし、何の文句があるってのよ!」
B:「ちょっと、その経歴書見せて!!何々~社長秘書で、趣味は歴史書を読むこと~?
ちょっと~嘘だらけじゃない、この経歴書!」
A:「ちょっと脚色したけど、・・・。」
B:「ちょっとじゃないわよ!まったく、嶋井宗室みたいに経歴不明な方がまだマシよ!」
A:「しまい、そうしつ?・・・」
B:「嶋井宗室って人物は博多の商人でもあり、茶人としても有名なんだけど、その若い頃の経歴はダレも知らないの!彼のお屋敷跡が博多区の中呉服町にあるわ。」
A:「ナゾに包まれた人物か!私もナゾの美女って感じに見えなかったのかな?」
B:「アナタの場合はナゾじゃなくてウソでしょ!嶋井宗室は、出生は分からないけど、博多にとって多大な貢献を果たしたんだから、比べること自体に無理があるわよ!」
A:「多大な貢献って?」
B:「織田信長が大阪の堺をアジアへの窓口にしたのに対して、豊臣秀吉は、古来から実績のある博多に目を付けて、博多に楽市楽座の制度をしいて、商人の自由な活動を許したの!その時、商品の売買や運送、宿、なんていった総合商社みたいなことをして、博多周辺の復興に大いに貢献したの!」
A:「言うなれば、博多の父ってとこね!」
B:「そうよ!経歴が不明でも立派なことした人なんだから、アナタの経歴詐称とはワケが違うわよ!ところで、趣味が歴史書を読むこと、なんてこんなウソ、よくばれなかったわね!?」
B:「い、いや~ばれたかもしんない・・・」
A:「何で!?」
B:「どのような歴史書を読むのかって聞かれて、よくわかんなくて・・」
A:「何て答えたの?」
B:「わかんないから、【北斗の拳】って言ったの・・・あれ、いつの時代のお話だっけ・・・」
A:「そりゃ、漫画でしょ!破談になるはずだわ!」



第21話 6月2日放送

テーマ
第21話は、20話から少し話しが遡り、元寇襲来の題材を再度掘り起こします。中世の博多の町と北条家の苦悩を織り交ぜ、博多の隆盛と外交政治の複雑さを紐解きます。

タイトル:「無視しないでよ!」

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SE:社内(人の話し声、電話の音など)
A:「ちょっと~新しく赴任してきたあの課長ったら頭にくるわ!」
B:「あ~あのやり手の我が社初の女性課長ね」
A:「チョッと企画書のコピー部数を間違えたくらいで~!!」
B:「そりゃ、チエが悪い!」
A:「悪いのはわかるけど、『もうアナタには頼み事出来ないわね』ってそれ以来、私のこと無視すんのよ~!」
B:「ふ~ん、それはちょっと陰険ね!」
A:「でしょ~!くやしいったらありゃしない!」
B:「まあ、まあ、そのうち怒りもおさまるわよ!間違っても元寇の襲来みたいにはならないでね!」
A:「げんこう?・・・」
B:「ほら、フビライハンが博多に侵略してきたってお話!。」
A:「元寇襲来と私と課長の関係に接点があるわけ??」
B:「最初は、フビライハンは日本を侵略しようとまでは思っていなかったのよ!交易をしましょうといった親書を送ったんだから。」
A:「それが何で戦争になっちゃったの?」
B:「その時執権を握っていたのが、あの有名な北条時宗で、合計6回ものフビライからの親書をことごとく無視したの!」
A:「それでフビライが怒っちゃったワケね!分かるわ~その気持ち」
B:「何いってんのよ!それが原因で2度に渡っての大きな戦いになったんじゃないの!無視したの、してないのでケンカしちゃだめでしょ!」
A:「結局、フビライハンは撤退したんでしょ・・・先に手を出した方が負けってことね・・』
B:「そう、そう。」
A:「よ~し!こうなったら私も徹底的に無視してやるわ!・・』
B:「何でそうなんのよ!?素直に謝ればいいじゃない!じゃないと北条時宗が元寇再上陸の時のために防塁を作ったように、
課長も頑固に守りを固めてくるわよ!」
A:「わかったわよ!相手が無視してきてもこっちから歩み寄る寛容さを身につけろってことね!』
B:「よっ!オトナの女!カッコイイ!」
A:「それはそうと、昨日のランチ代私が立て替えといたヤツ、返して貰って なかったわよね!?』
B:「さて、溜まった仕事を片づけるか・・・!」
A:「何で無視すんのよ!こら!待ちなさいよ!」



第22話 6月9日放送

テーマ
第22話は、中世詩、貿易都市『博多』の規模を現す『交易船の錨(いかり)』をテーマにして展開。
交易船は200~300トンクラスと想定され、そんな船が何十艇も行き交った博多湾を思い描くとともに当時の船員の気持ちになって博多の町をも想起させます。

●提供クレジット 10゜~ 
SE:人のにぎわい

A:「ここが中世博多展の会場か~!」
B:「中世の博多の様子を知るにはゼッタイここに来るべきよね!」
A:「いつになくハイテンションね~!!」
B:「そりゃ、そうよ!ここには博多の歴史がいっぱい詰まってるんだから!」
B:「ちょっと~これ見て~!」
A:「こ、このでっかい矢印はなに!」
B:「矢印って何よ!これは当時の中国から博多に交易に来てた船の錨よ!」
A:「錨って、これ素材は木材じゃない!」
B:「そうよ、この時代の錨は木で出来てたの。」
A:「へ~、木の錨で碇泊できたの?」
B:「当時の船は200~300トンだったって言われてるから現代の巨大タンカーのような錨じゃないわね?」
A:「よしこ、ホンットに楽しそうね!」
B:「いいから!早く次のコーナーに行こっ!」
A:「やれやれ・・・」
B:「ここのコーナーは交易船の船底をイメージして展示されてるらしいわよ!」
A:「ねえ、ワタシそろそろお腹空いてきたんだけど・・・・!」
B:「なに言ってんの、今来たばっかりじゃない!少しは我慢しなさい!』
A:「ハイ、ハイ!で、ここが何だって?」
B:「この船底イメージは韓国の木甫(モクポ)沖で発見された「新安沈船」を参考にしてるのよ!』
A:「新安沈船?』
B:「新安沈船って船は中国から博多に向かう途中で沈没したしたらしいの。引き上げた船内からは将棋の駒も見つかったらしいからきっと船員には日本人が乗っていたのね~」
A:「悲しいけどロマンを感じさせるわね~』
B:「そうよ、お腹空いたなんて言ってないでもう一回さっきの大きな錨を見に行こうよ!」
A:「え~!もういい加減にしてよ!お腹が空いたって言ってるでしょ! ねぇ、ちょっと~待ってよ~!」
B:「何回見てもすごいわね~長さが5.3メートルもあるんだって!」
A:「も~う頭に来た!お腹が空いたって言ってるでしょ!」
B:「何プリプリ怒ってンのよ!わかったわよ!」
A:「フフン、この大きな錨より私の怒りが勝ったようね!」
B:「やれやれ・・・」



第23話 6月16日放送

テーマ
第23話は、『博多』の食文化にスポットを当て、博多の地に発祥とされる『うどん』を通じて禅の文化と博多の隆盛は切っても切れない関係であることを説明します。

タイトル:「博多の女は色気より食い気?」

●提供クレジット 10゜~ 
SE:人のにぎわい

A:「ねっ、ねっ、早く~!」
B:「せっかく中世博多展に来たんだからお昼は会場内の中世のうどんにしようか!?」
A:「え~うど~ん!?もうちょっとボリュームあるものがいいな~」
B:「その一口がブタになる!・・・昔の博多の人たちが食べていたものが現代 に食べられるなんて素敵じゃない! ねっ、うどんでいいでしょ!」
A:「まっ、そんなに言うんならうどんで我慢するわよ!」
B:「すいませ~ん うどん2杯ください!」
A:「あ、きたきた」
A:「ねえ、このうどん何だか色がお蕎麦みたいよ~!」
B:「そうよ、この時代うどんは胚芽を残した小麦粉で作られていたからこんな色してるのよ。」
A:「へ~、あれ?おいし~い!」
B:「小麦の味ってこんなんだったんだのね!しっかり麺そのものに味がついてる感じ~!」
A:「そういえば博多がうどんの発祥って言ってたわね!それっていつの話なの?
あっ、おじさん、すいません、うどんおかわり~!」
B:「あきれた!うどんなんてイヤだって言ってたくせに!」
A:「いいから・・ほら、うどんのお話を早く!」
B:「それがね、うどんに限らずお蕎麦も博多が発祥とされてるのね、およそ760年前、宋の国、今で言う中国に留学していた聖一国師(しょういちこくし)が博多に帰ってきた時に麺文化が日本に初めて伝わったと言われてるの!」
A:「へ~何か証拠でもあるの?」
B:「証拠って呼べるのかどうかはわからないけど、聖一国師が建てたと言われてる博多区にある丞天寺に発祥の碑があるから行ってみるといいわ!』
A:「このうどんだけでケッコウで~す!」
B:「まったく!ホントにあなたは歴史を尊ぶ気持ちがうすいわね~』
A:「何でよ?この中世のうどんを沢山いただくことが先人たちの残した文化を尊ぶってことでしょ!』
B:「ハイハイ、チエにはこのうどんを通して活気にあふれていた当時の国際貿易都市、博多を思い浮かべるのは無理かもね!」
A:「あっ、おじさん、すいません、うどんもう一杯おかわり~!』
B:「ちょっと~食べ過ぎよ~!」



第24話 6月23日放送
 
テーマ
 第24は、『博多』の伝統文化にスポットを当てて、博多の地から生まれた『曲げ物』     隣接する箱崎宮のお話。山笠のお汐井とりもこの箱崎宮横で行われ、昔から博多の町に欠かせない存在でした。

タイトル:「よく曲がってること」
 
●提供クレジット 10゜~ 
SE:横断歩道音(とおりゃんせ)
A:「あ~疲れた!」
B:「今日は珍しくバリバリ仕事してたじゃない!?」
A:「珍しくは余計よ!でも頑張ったかいあって、今日は定時で帰れるわ!ねぇ、ちょっとご飯でも食べに行こうか!?」
B:「いいわよ!」
A:「あれ?あの人のあの格好!そうか、もうそんな季節か・・・」
B:「博多山笠ね!長半被って何か格好良いよね~」
A:「何だか街全体が活気づくわね!」
B:「あっ!そうだ、箱崎宮の近くにある屋台に行こうよ!。」
A:「屋台か~いいわね!でも何で箱崎なの?」
B:「ほら~、山笠のお汐井取りがあるからつい、思い出しちゃった!」
A:「あっそうか~!」
  SE:屋台の賑わい(笑い声・いらっしゃい~のかけ声)
A:「あ~!もう、お腹いっぱい!」
B:「最近食べ過ぎじゃない?!」
A:「いいのいいの!」
B:「ねっ、ちょっと箱崎宮へお参りに行こうよ!」
SE:柏手
A:「何だか久しぶりだわ箱崎宮!」
B:「博多でも代表的なお宮だからたまには来なくちゃね!」
A:「ねぇ、箱崎宮にまつわる面白い話ってないの?」
B:「箱崎宮っていったら、やっぱり博多曲げ物のお話かな?!」
A:「あ~、お櫃とかだよね!」
B:「もともとは神功皇后が皇子をお産みになった時の衣服入れを制作したのが始まりだと言われてるの!!」
A:「へ~!」
B:「でね、面白いのが、箱崎と言う地名のときに使われる箱の字と筥崎宮という時に使う筥の字が違うじゃない!?
A:「そう言えばそうねぇ・・・・」
B:「それは四角い箱の事を指す時は地名の箱の字で、丸いハコの事を指す時は筥崎宮のハコを使うのよ!!」
A:「てっ!いうことは!」
B:「そう、筥崎宮という時のハコの字は神事に奉納される博多曲げ物の丸い筥から由来すると言われてるの!!」
A:「単なる勘違いじゃないの~?!」
B:「あ~あ、チエの性格は博多曲げ物よりも曲がちょるねぇ!!」
A:「せぇからしかー!」


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