二千年の港~博多港ものがたり
第13話~第18話


第13話 4月7日放送OA
          
テーマ
第13話は、少し話が遡り、527年の『磐井の乱』をテーマに設定。
磐井の乱は、いうなれば九州が独立する可能性を持った出事。
今でこそ、欧州の一国と肩を並べられる程の経済力を持った九州だが、本当の意味で、九州王国として独立しようと言うときがありました。

タイトル:独立しなきゃ!

SE:街頭・(トラックが通り過ぎる音)
A:「あっ!またあのマークのトラックだ!」
B:「あ~引越し屋さんのトラックね!今、ちょうど引っ越しシーズンだからね!」
A:「新生活に向けて希望に満ちた若者の夢と荷物を運んでるのね~!」
B:「な~に言ってんのよ!でも夢と同時に、親元から離れて独立する厳しさは、これから実感するってわけね!」
A:「そうそう、一人暮らしの厳しさ!これが辛いんだ!」
B:「私達が今住んでる九州も、一人立ちしようとして、厳しい現実に直面したって事実は知ってる?!」
A:「えっ!どういうこと?」
B:「九州、とくに博多を中心とした北部九州一帯に勢力圏を持っていた『筑紫君、磐井』が、当時の中央政権だった大和政権に対抗して一大勢力を作ってたの!」
A:「つくしのかみ、いわいって初めて聞くけど・・・」
B:「大和政権は百済と、磐井は新羅を、といったふうに外国との対外事情も合わせて対立の溝はどんどん深まっていっの!」
A:「で、その磐井とかいう政権が誕生したの!?」
B:「ばかね!もし、そこで磐井が勝っていたら今の博多の姿はなかったかも知れないわよ!」
A:「なんで?・・・」
B:「その戦いを『磐井の乱』っていうんだけど、その戦いに勝ってれば、少なくとも、九州は日本の中央として君臨していたし、ひょっとすると本当に、九州王国という独立国になってたかも知れないわよ!」
A:「そうか、日本の首都が福岡だったって可能性もあっんだ!」
B:「まっ、地方都市博多だったからこそ、今の繁栄があるってこともいえるんだけどね!」
SE:街頭・(トラックが通り過ぎる音)
A:「これから新生活を始めて、独立気分に浸ってる若者も一度や二度の失敗でくよくよせずに、自分のチカラでふんばって見ろって教訓ね」
B:「えらそ~によく言うわよ!』
A:「なにがよ~!」
B:「ちえ、いい歳してまだ親から仕送りしてもらってるんじゃない!」
A:「ははっ(乾いた笑い声)それは言いっこなしだって、、(力なく)」


第14話 4月14日OA
         
テーマ
 第14話は、博多の街を語る上で重要な人物『謝国明(しゃこくめい)』についてのお話。
 宋との貿易により、禅を博多に定着させ、豪商としての彼が、僧と神社の繋がりという
 「神と仏の奇妙な取り合わせ」を実現させました

タイトル:神様、仏様、も御一緒に。
SE:競艇場(アナウンス~ボート滑走音)

A:「あ~っ!またはずれたよ~!」
B:「あ~、ついてないわね!」
A:「もう、これで一体幾ら負けたのよ~!」
B:「ねえ、そろそろこれくらいで切り上げない?」
A:「何言ってんのよ!競艇はね、何があるかわからないから面白いんじゃない!最終レースまでねばって、今までの負け分取りかえすわよ!」
B:「もう、どうなって知らないわよ!」
A:「神様、仏様、どうか私にツキをください!あっ!神様と仏様を一緒にしたらまずいわね!・・・」
B:「まっ、博多の地で祈る分には問題ないんじゃない!?」
A:「えっ、何で?・・・」
B:「1242年に承天寺(じょうてんじ)というお寺が建立されたんだけどその時、今で言う華僑だった謝国明という人が、円繭(えんに)という偉いお坊さんを立てて博多の街を活性させたってお話。!」
A:「えっ!博多の活性と神様、仏様が何の繋がりがあるのよ?」
B:「せっかちね~話の核はこれからよ!」
A:「も~う、早く教えてよ!次のレースが始まっちゃうわよぉ・・・」
B:「簡単にいうと、修行のために宋の国に行っていた円爾が、日本へ帰ってくる途中で船が難破しそうになったんだけとなんとか無事に箱崎宮にたどり着いたから、そのお礼参りってことよ!」
A:「ちょ、ちょっと待ってよ!何で偉いお坊さんがわざわざ、お宮参りするのよ!?」
B:「そこで、謝国明なる人物が浮かんでくるのよ!謝国明は当時、博多ではそうとうな実力者で、箱崎宮が所有する土地を買って、承天寺に寄進したって経緯があるのよね!」
A:「あ~そこで、その円爾っていうお坊さんと、箱崎宮が繋がったわ!」
B:「今でも、承天寺では箱崎宮に参拝するのが年中行事なのよ!」
SE:競艇場(アナウンス~ボート滑走音)
A:「行け!行け!そこだ!まくれ~!神様、仏様!謝国明さま~」
B:「謝国明さま~は、ないでしょ・・・』
A:「あ~、またはずれたわよ!神も仏もあったもんじゃないわ!」
B:「そうね、チエには「貧乏神」がお似合いみたい!』
A:「うるさいっ!」(怒)


第15話 4月21日放送

テーマ
第15話は、博多の街を国際都市としてレベルアップさせた15世紀の偉人『宗金(そうきん)』をクローズアップ。彼の国際ビジネスマンとしての功績が、国際商都博多を形成したのは、間違いありません。

タイトル:年下の国際ビジネスマン。

SE:会社内(電話~雑音)
A:「ねえ、ねえ、新しく入社した山本君、ちょっとイイ感じじゃない~」
B:「チエって、そんな情報はホント早いわね~、!」
A:「ねえ、お昼誘っちゃおうか!?」
B:「いいわよ!」
A:「何でも彼、帰国子女で英語もペラペラらしいわよ!」
B:「現代の博多に蘇る『宗金』ね!」
A:「そうきん?何、それ!・・・」
B:「博多で活躍した、今で言う国際ビジネスマンってとこかしら」
A:「国際派だったの?・・・」
B:「そうよ、もともとは僧、つまりお坊さんなんだけど、商人としての彼の方が有名なの!」
A:「えっ!お坊さんが商売してたの?」
B:「そうよ!僧侶は外国との大切な特使としての役割もあったから、商売といっても貿易に携わることの方が多かったんだけどね。」
A:「お坊さんが国際ビジネスマンなんて、ちょっと不思議ね・・・」
B:「ウン、宗金は北部九州での政治・経済面の基盤を固めて、朝鮮と日本の外交顧問もやりながら、中国とも貿易をやっていたマルチ人間なの!」
A:「へ~、いわゆる『出来る人』だったわけね!」
B:「持ち前の積極性、沈着さ、読みの深さ、どれをとっても国際ビジネスマンとしての資質は抜群よ!」
A:「フーン、なるほどね~」
B:「そんな、宗金と新入社員の山本君を比較したら、ちょっと山本君が可哀想かもね!!」
A:「そんなことないわよ!きっと彼にも、宗金のような国際派の素質十分よ!」
B:「やれやれ、入れ込んだものね!」
SE:チャイム(昼休み合図)
A:「よし!山本君を誘っちゃお!」
B:「ちょ、ちょっと~あなたが入れ込んでるから言わなかったんだけど~、山本君、学生時代からつき合ってる年下の彼女がいるんだって!」
A:「え~、なによそれ!だあったらお昼なんて誘わないわよ!」
B:「そうね、それがいいかも・・・ね。』
A:「ところで、ヨシコ!何で私より先にチェック済みなのよ!(怒)
B: 「ドキッ!!」


第16話 4月28日放送

テーマ
第16話は、いよいよ時代は戦国時代に突入し、世の中は混乱に陥ります。
しかし、商人達は、戦国の世をよそに、勘合貿易をますます広め、アジアへと視野は伸びていきます。
武将が国内、商人が海外、2つの身分がそれぞれの道を進みはじめた時代です。

タイトル:山盛りの贈答品。

SE:雑踏
A:「あっ!あのお店じゃない!」
B:「そうそう!赤いのれんが目印って、いってたもんね!」
A:「ここのラーメンは、かなりこだわってるらしいわよ~」
B:「オープンしたてだから、お客さん多いかな?」
SE:ドア開ける(ガラガラ~)店員の声:へい!いらっしゃいませ~
A:「わ~もう、いっぱいね!」
B:「あっ!あそこの席が空いてるわよ!」
A:「親父さん!ラーメン2つ~!・・・」
C:  オヤジ「あいよ!!」
B:「でもさー、ラーメン屋さんに限らず、次から次に新しいお店がオープンするわね!」
A:「おかげで、美味しいもんが食べられるワケじゃない!」
B:「そうね、勘合貿易の発展による博多の活性化がなければ、美味しいものも、
食べること出来なかったかもしれないもんね!」
A:「また、歴史の話し?」
B:「そうは言うけど、このラーメンに使われている色んな材料達も貿易、つまり輸入に頼らなくちゃ、食べること出来ないんだから!そう考えると、博多の勘合貿易の話にも興味が湧くでしょ!」
A:「そりゃ、そうだけど・・・」
B:「豪商といったら、大阪堺の商人が有名だけど、実は博多の豪商はそれ以上だったかも知れないのよ!!」
A:「へ~、!(気がないように)あ~早くラーメンこないかな~」
B:「何といっても琉球、南蛮、朝鮮の船のほとんどが博多に集まって、博多全体が貿易による利益で潤ってるありさまが『海東諸国記』に、克明に記されているんだから!」
SE:へい!お待ち~(トン)器がテーブルに置かれる音
A:「きたきた!おいしそ~」
B:「ちょっと!私の話、聞いてる~?」
A:「もう!ラーメン伸びちゃうから・・・コショウ、コショウっと!」
B:「そのコショウも、その時代には贈答品として、広くアジアから輸入してたらしいわよ!!」
A:「あっ、そっ!」「ギャ~っ!コショウの中蓋が~」
B:「あらあら、コショウが山盛りでよかったじゃない。人の話を聞かないから、バチが当たったのね!いっただきま~す!』
A:「もう!ヨシコが変なトコで、話し掛けるからでしょ!(怒)
SE:店内(FO)


第17話 5月5日放送

テーマ
第17話は、時代は16世紀に突入し、現代においても多くの人に語り継がれる戦国時代となります。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などおなじみの武将達が未だ世に出てくる数十年前は足利時代が続き、隆盛を誇った足利時代も末期へと突入してきます。足利時代の北九州守護大名大内善興のお話。

タイトル:私が守護職?。

SE:クルマエンジン音
A:「あ~あ、折角のゴールデンウィークなのに何が悲しくて女同士でドライブしなきゃなんないのよ~」
B:「よくいうわよ!暇だからどこかに連れてけって電話したきたのはいったいダレ!?」
A:「いや、寂しい気持ちはお互い分かち合おうかな~って思って・・・・・」
B:「で、どこに行きたいの!?」
A:「天気がいいから海にでも行こっか!?」
B:「え~絶対後悔するわよ~」
A:「えっ、なんで!?」
B:「まっ、行ったらわかるわよ!」
SE:クルマエンジン停止音
B:「さっ、着いたわよ!」
A:「ちょつ、ちょっと~何、このカップルの数は~?!」
B:「だから言ったでしょ!後悔するって!」
A:「あ~あ、何で私たち彼氏が出来ないのかな~?」
B:「落ち込んでてもしょうがないわよ!大内善興みたいに大志を抱いて行かなくっちゃ!」
A:「おおうちよしおきって?・・・・」
B:「足利善伊を補佐した北九州の守護大名なのよ!!」
A:「へ~、どんな武将だったの?」
B:「足利善伊を将軍職に復権させて、自分も政治の要職に就いたって人よ!」
A:「九州の大名なのに中央で政治が出来たの~?」
B:「そう!地方の守護大名でも功績さえあれば政権につけるっていう良い見本ね!
彼が中央政権で重要な職に就いていたからこそ領内の博多は勘合貿易で商業がされあに発展して町として成長したって事ね!」
A:「へ~、じゃあ、私はさしずめアナタの守護大名ってとこね!!」
B:「なんで、チエが私の守護大名なの?いつ守ってもらったかしら~?」
A:「だって新入社員の山本君ったら、新人のくせに先輩社員をデートに誘おうなんて生意気なことするから追い返してやったわ!」
B:「え~?もったいない!行けば良かったじゃない。」
A:「い、いや、誘われたのはヨシコで、私がアナタを守ってあげたの!」
B:「え~?聞いてないわよそんなこと~」
A:「い、いや、本人に直接言うのは恥ずかしいからって私に伝えてって言われちゃって、ちょっと面白くなかったから追い返したワケでぇ・・・・」
B:「この~!私に彼氏ができないのはチエが理由じゃないの~(怒)」
A:「わ~風が気持ちいい~!」
B:「ごまかすな~!」


第18話 5月12日放送

テーマ
第18話は、いよいよ天下統一を目指した戦国武将達が活躍する時代となる。
16世紀後半は政変の他に、日本にとって大きな変革が起こります。
6世紀に中国から伝来した仏教が民衆の心から離れ、千年ぶりに新しい宗教がやって来ます。
キリスト教は多くの日本人の心をとらえましたが、博多では!?

タイトル:「キリシタンは花嫁空想中。」

●提供クレジット  
SE:オフィス内雑音(電話音など)以後継続~
B:「どうしたの!?ボ~っとして・・。」
A:「何だか5月病みたい・・・」
B:「何いってんのよ!5月病ってのは新入社員がかかるもんなの!チエは、入社5年目じゃないの!」
A:「何だか仕事やる気になんないのよね~」
B:「いつものことじゃない・・・!」
A:「あ~あ、お嫁にでもいっちゃおうかな~」
B:「その前に相手がいないでしょ!」
A:「ちょっと~少しは心配してくれてもいいんじゃない!」
B:「ゴメン、ゴメン!」
A:「教会でみんなの祝福を受けながら・・あ~憧れるわ~・・・」
B:「教会って、チエ、キリスト教じゃないでしょ!!」
A:「あら、わたし先祖代々キリスト教よ!」
B:「え~うそ~!!先祖代々って珍しいわね!」
A:「えっ、何で?」
B:「1549年にフランシスコザビエルが布教して以来、全国にキリスト教は広がっていったけど、この博多の地だけは布教活動が困難だったらしいの!」
A:「なんでかな~?」
B:「大内氏の筑前支配が1555年に終わって、大友宗麟が守護職に変わったころから、博多にもキリスト教が広まってきたらしいけど、そのころのキリスト教宣教師達が、博多から本国や東アジアの教団に手紙を送ってるの!」
A:「へ~、何て書いてたの?」
B:「博多は裕福で贅沢な町なので、博多町民は容易にキリスト教を受け入れず、日本一布教のやりにくい土地ですって書いてあったみたい」
A:「新しい宗教には、興味が無かったのかな?」
B:「それはどうだか知らないけど、その手紙の他の部分に書いてあったんだけど、博多市民はすこぶる活力に富み、戦争で20軒しか残っていなかった家が、わずか2ヶ月で3500軒に増えたって言うから、みんなバイタリティに溢れてて、宗教より先にやることがいっぱいだったんじゃないかな?」
A:「そうか~博多の港から送られた手紙を読んだ人は博多の町を意味ありげに、色々空想しただろうね!!」
B:「そうね、少なくともウエディングドレスを着た彼氏のいない自分を、仕事もせずに空想するよりは、意味がありそうね!」
A:「何ですって~!!!」



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