二千年の港~博多港ものがたり
第7話~第12話


第7話:2月24日OA

テーマ
第7話は博多の地が大陸文化の受け入れ口だったおかげで「はじめて(日本発祥)」の文化が多い事象を説明します。ある意味に於いて中国「宋」からの伝来師でもあった栄西を主人 公に、茶の文化、そしてその後の酒饅頭、うどん、等「禅」と博多の関係を追っていきます。

タイトル 午後に想う栄西の偉業。

* 提供クレジット 10゜~

SE:やかんの沸騰音・女性達が井の端会議音
A:「もう、あったまくるわね~あの課長!」
B:「どうしたのよ」
A:「聞いてよ!あのハゲ課長、さっき何て言ったとおもう!?
『君、最近ちょっと 肉付き良くなったんじゃないか~』
なんてやらしい目つきで私のコト見るのよ~!」
B:「それって立派なセクハラじゃない~!」
A:「でしょ~!何でそんなセクハラ課長に私がお茶なんて入れてあげなきゃいけないよ!!」
B:「まあ、まあ、お茶に罪はないんだから、そんなに乱暴にお湯を注いじゃダメよ!」
A:「そういえばアナタ、最近お茶を習ってるって言ってたわね。」
B:「うん、博多っ子なら、やっぱりお茶くらいはできなきゃって思ってね!」
A:「どういうこと?」
B:「お茶って博多が発祥の地ってこと知らなかったでしょ~」
A:「え!そうなの!」
B:「そうよ、日本における禅宗の始祖、栄西が禅とともに持ち帰ったのが『茶の文化』だったの。」
A:「栄西って名前、何か聞いたことあるわ!」
B:「もともとは岡山県の出身なんだけど、28歳の時に博多から中国の宋へ渡ったの!
そして禅宗を学んだ後に博多の今津に移って宗教活動をしたのよ!」
A:「へ~あの西区の今津でね~」
B:「ちなみに今津って地名は博多の津に対して新しい港って意味で付けられた地名なのよ。」
A:「ねえ、私さっきから聞こうと思ってたんだけど、博多の津の『津(つ)』ってどういう意味なの?」
B:「津っていうのは海の入り江近くのこと!そもそも博多って言う名前の意味は干潟とか埋め立て地とかいう意味なの。だから博多津っていうのは埋め立てて出来た海の入り江の近くってことね!」
A:「へ~っ」
B:「まっ、とにかく栄西は博多の近くに引っ越してきた時にお茶の文化も一緒に持
ってきたワケよ!。」
A:「お茶っていうと、八女が有名よね?」
B:「そうね、栄西はお茶の種子を背振山に蒔いて茶園を作ったの!」
A:「ふ~ん、今じゃ何の気無しにお茶を飲んでるけどそんな歴史があったのね~!」
SE:紙包み擦過音
B:「そしてじゃ~ん!これも博多発祥の食べ物『酒皮饅頭』!
さっきお昼休みに駅で買ってきたんだ!午後のお茶請けにと思って・・・。」
A:「おいしそ~!私は3個も~らい!」
B:「ちょっと~とりすぎじゃない!」
A:「いいじゃない~!」
B:「やれやれ、これじゃ肉付き良くなったって言われてもしょうがないわね!・・
・。」
A:「ほっといてよ!」


第8話:3月3日OA

テーマ
第8話は日本が初めて外敵から侵略を受けた『元寇の戦い』の話を主題として、大陸 と近いが故に発展してきた博多の利点とリスクをユーモアを交えながら進
行します。

タイトル 神風と春一番。
* 提供クレジット 10゜~

SE:街の雑踏・
A:「季節は春といったってまだまだ寒いわね~」
B:「ホントね~!でも春物のスカートは出始めにいいデザインが揃ってる
のよ~悪いけど今日一日付き合って!」
A:「私だったら冬物ラストバーゲンを狙うけどな~」
SE:突風が舞う音
B:「きゃっ!すごい風~」
A:「これってカミカゼ!?」
B:「何いってんの!、これは春一番でしょ!」
A:「あっ、そうか、春一番か!あれっ?カミカゼって何だっけ!?」
B:「神風ってのは、元寇のお話で突然吹いた大風の事でしょ!」
A:「ゲンコウ?」
B:「ほら、日本が初めて外国から侵略されたっていう蒙古襲来よ!」
A:「あ~、あのチンギス=ハンの事ね!?」
B:「まあ、正確に言うと、その子孫のフビライ=ハンの襲来なんだけど、世界制覇を唱えていた  蒙古帝国の手が日本にまで及んだってお話。」
A:「日本は勝ったの?負けちゃったの?」
B:「う~ん、勝ち負けはともかく、さっき言ってた神風によって船は大破してしまって結局は  侵略は出来ないままだったって聞いてるわ。今でも元寇を防ぐために築いたっていう防塁跡が西区の方に残ってるわよ!」
A:「ふ~ん、ずいぶん警戒してたのね~」
B:「でも、国と国はそんな状況だったんだけど民間のレベルでは経済や文化の交流は盛んだったみたいよ!」
A:「どんな交流だったの?」
B:「僧侶、つまりお坊さんね!双方の国のお坊さん達は宗教を通じて様々な書物を持ち帰っていったっていうから、今を思うとその後の日本文化の発展は、
お坊さん達の功績とも言えるわね!」
A:「そうね!」
B:「何と言ったって、あの博多人形も中国の元で作られた土人形がルーツじゃないかって言われてるんだから!」
A:「へ~っ、大陸と近いと大陸文化を享受できる反面リスクもあるってことね!」
B:「まあ、現代でも危機管理の是非は問われているから、平和な今こそ考えなきゃいけない問題ではあるわね」
SE:また突風が舞う音
A:「きゃっ!スカートが~」
B:「早くスカートおさて!!」
A:「あ~すごい風だった・・・何よその目は」
B:「あなた、いくらまだ寒いからって毛糸のパンツはないんじゃない!?」
A:「見えた?」
B:「あの毛糸パンツ見たらきっと、蒙古どころか、ダ~レも寄りつかないわよ!」
A:「うっ(うる)さいわね~」


第9話:3月10日OA

テーマ 季節は春の装い。
女性達は今年最初の恋の行方を左右するバレンタインデーを終え、ホワイトデーに望みを託す・・・・。
第9話は先週に引き続き『元寇の戦い』の話から派生する地元九州の武士たちを主題として、
恩賞(見返り)について考える2人をユーモアを交えながら進行します。
       
タイトル:見返り美人 
●提供クレジット 10゜~

 SE:街の雑踏・
A:「まだまだ風は冷たいっていうのに、そんなにナマ足出して寒くないの~?」
B:「だって、もう春だもん!アナタもいつまでも冬服じゃなくて、この辺でパァーっとナマ足出しちゃえば!?」
A:「え~どうせワタシはアナタと違ってダイコンですよ!」
 SE:豚の鳴き声(boo boo)
B:「ひねくれてるわね~そんなことじゃバレンタインの時にやっとの想いで告白したア・ノ・ヒ・トからホワイトデーのお返しは見込み無いわね!」
A:「ちょっと~縁起でもないこと言わないでよ!」
B:「だいたいチエはチョコ渡したら必ずそれ物以上のものが返ってくると思ってるとこが間違いなのよ!」
A:「うるさいわね~」
B:「少しは薬王寺二郎を見習ったら!」
A:「ヤクオウジ?ダレそれ?」
B:「蒙古襲来の時に戦った九州の武士よ!」
A:「その武士が何だって言うのよ!?」
B:「外敵から祖国を守るのは当然だって言ってすごい活躍した人なんだけど、そのご褒美を貰うことに躊躇したのよ!」
A:「え~何でよ?働いたんだから貰える物はもらっとくべきでしょ!」
B:「でも、当時は勝者が敗者の土地を没収して、その手柄によって恩賞地を与えていたんだから蒙古に勝っても上げる土地がないじゃない!!」
A:「で、恩賞は辞退したけ?」
B:「そおいうわけにはいかないのよ!幕府は無理してでも土地と屋敷を贈ったの!信頼関係を築き上げたいからこその措置よね!」
A:「そのお話と私が何の関係があるのよ~」
B:「つまり見返りばっかり考えないでもっと相手を信頼しろって事ね!」
A:「バレンタインの見返りくらいいいじゃない~!それに見返りを期待する女性の事を『見返り美人』って言うじゃない!
切手のモデルになるくらいなんだから誉めてくれてもいいんじゃない?」
B:「あなた、まじ~!?」
A:「な、何が?」
B:「『見返り』の意味が違うでしょ!」


第10話:3月17日OA
 
第10話テーマ背景
ホワイトデーの結果は無惨な敗北を喫したA子を慰めようとするB子は、ある計画を持ちかける。
先週から引き続き恋のお話パート2、
第10話は鎌倉幕府が滅び、後醍醐天皇による建武新政が始まります。
新政に反目し、一度は戦いに敗れた尊氏は九州に落ち再起をはかる・・・。
恋の戦いに一度は敗れたA子は再起を図ろうとするが・・・。
 
タイトル:九州で再起。
●提供クレジット 10゜~

 SE:街中でのオープンカフェ・(食器・人の話し声・クルマの音)
B:「元気出しなさいよ!」
A:「元気なんて出ないわよ!もう、わたしの未来は真っ暗だわ!(半泣き)」
B:「ちょっと~大袈裟じゃない!?彼が東京へ転勤するくらいで・・」
A:「だって~!!(怒気)、ホワイトデーの時に電話があったらダレだって期待するもんでしょ!それが来月から東京へ転勤なんだって突然言われて、挙げ句には『オレとお前はいつまでも友達だよな!』なんて爽やかに言われて・・・くやしい~(半泣き)
B:「まるで後醍醐天皇と足利尊氏みたいね。」
A:「何よそれ!」
B:「北条政権に対する不満から幕府打倒で立ち上がった武士達は、後醍醐天皇を擁立して1333年に鎌倉幕府を滅ぼしたの!」
A:「それで!?」
B:「後醍醐天皇は、功績のあった武士達を無視して自分自身が全ての実権を握って、武士達には何の褒賞も与えなかったの! これが有名な建武の新政ってやつよ!」
A:「建武の新政から???武士達は何も貰えなかったの?」
B:「まあ、『将軍』といった肩書きだけはもらったけど、何の利権も無かったから武士の代表でもあった足利尊氏は怒ったのよ!」
A:「そりゃ怒るわよ!」
B:「ほら~・・バレンタインチョコを渡して、ホワイトデーで友達って肩書きを貰ったチエみたいでしょ!」
A:「アナタそれでも慰めてるつもり(怒気)!?」
B:「まあまあ、でも足利尊氏は、その後一度は戦いに敗れたものの九州の筑前に落ち延びて再起を図ったワケだから、アナタも再起するために博多で新しい恋を見つければいいんじゃない~!!」
A:「簡単に新しい恋なんてみつかんないわよ!!」
B:「ここでグッドニュースがあるんだ~!」
A:「何よ?」
B:「今度の金曜日に若いお医者さんたちと合コンがありま~す!」
A:「ほ、ホント?やっぱり持つべきものは親友よね!ねっ、ねっ、どんな服がいいかな?やっぱりお嬢系かな?どこのお店にする? いい男いるかな?ねってば!」
B:「チエの立ち直りは、足利将軍よりずいぶん早いわね!」(呆れたように)
A:「ねっ、口紅の色はやっぱりローズ系?」(B子の話は聞いてない)


第11話:3月24日OA

第11話 テーマ背景昨夜は念願だった合同コンパ。A子は成果は上々と自信たっぷり。そんな2人はアイランドシティがある街、香椎の香椎宮で戦勝祈願?
はてさてコンパの結果はどうなったのか・・・。

タイトル アイランドシティに戦勝報告
●提供クレジット 10゜~

 SE:車内・(エンジン音~)
B:「昨日の合コンはハシャイでたわね~」
A:「そりゃそうよ!新しい恋の始まりなんだから!」
B:「それで、誰か気に入った人いた?」
A:「ほら、私の正面に座ってた小児科の先生!松尾さんだっけ!?あの人が一番好みだな~」
B:「あっ、あ~あの人ね!」
 SE:車が止まる・(ドアを開け~閉まる音)
B:「さあ、着いたわよ!!」
A:「ココどこ!?」
B:「ここは香椎宮よ!建武の新政をめぐる戦いで九州に落ち延びてきた足利尊氏が、再起を願って戦勝祈願した場所なの!」
A:「あっ!わかった!昨日の合コンでお気に入りを見つけたのね!?」
B:「いや、そういうワケじゃないけど・・ほ、ほら、ここは奇跡の戦いがあって、大成功を納めた縁起のいいトコだから、 アナタの恋の成就を願って、ということで・・・・」
A:「ふ~ん・・でも奇跡の戦いって何のこと?」
B:「あの有名な『太平記』の多々良川合戦によると、尊氏の軍は、わずか1000、敵は6万という圧倒的に不利な立場を逆転勝利しちゃったの!」
A:「え~何で!
B:「敵の武将たちが裏切って尊氏側についたってのが大きな要因ね!!」
A:「へ~裏切りか~・・・」
B:「さあ!お参りも済んだし、海にでも行こうっか!」
SE:波止場音・(かもめ~)
B:「ねえ、アイランドシティもだいぶ完成に近づいてきたわね!」
A:「ちょっと~今日は肌寒いからクルマから出ないわよ!」
B:「なに年寄りじみたこと言ってんの!」(呆れたように)いいわ、私はちょっと外の空気吸ってくるから!」
 SE:携帯電話着信音・(♪~)
A:「あっ、メールだ!もう!よし子ったら、携帯も一緒に持っていけばいいのに!へへっ、ちょっとのぞいちゃおっと!  なになに、『昨日は楽しかっね、今度は2人っきりで会いたいな・・・マツオ、』
な、なに~!松尾さんって私のお気に入りの人じゃな~い!(怒気)何が気に入った人はいないよ!ちゃっかりメールアドレス教えてるじゃな~い!
 SE:ドア開け閉め音
B: 「おまたせ~」
A: このうらぎりもの~(フェードアウト)


第12話:3月31日OA

第12話背景 A子はある日、上司にひとつの命令をくだされました。乗り気じゃないA子はいつものようにB子に相談。
ビジネスを潤滑に回すにはどうしたらいいのか・・・博多商人の活躍を例にA子を促すお話です。

第12話は、いよいよ室町時代の全盛期へと時代背景は移ります。足利将軍も3代義満が就任し、外国との交易に本腰を入れてきます。建国以来鎖国政策をとっていた『明』との国交復活には、1人の博多商人の活躍がありました。
 
タイトル・我慢のしどころ
●提供クレジット 10゜~
SE:オフィス内・(電話音~等

A:「もう!ジョーダンじゃないって~の!」
B:「どうしたの?プリプリして!」
A:「怒りたくもなるわよ!自分のミスを人に解決させようなんて!」
B:「ちょ、ちょっと~声が大きいわよ、聞いてあげるから給湯室にでも行こっ!」
 SE:給湯室内・(お湯が沸くやかんの音~コンロOFF)
B:「で、どうしたの!?」
A:「課長ったら、自分が遅刻してクライアントを怒らせたのに、『自分が行ったら火に油を注ぐからって、菓子折でも持って君!ちょっと顔出してきてくれんかな!?』なんて尻拭いさせようとするのよ!」
B:「そりゃ、ひどいわね、と言いたいトコだけど考え方によっちゃいいチャンスじゃない?!チエ営業職やってみたいって言ってたじゃない!」
A:「あっ!わかった!ここで顔を売っとけば、後々お呼びがかかるかもしれないわね!!」
B:「そうよ!勘合貿易に貢献した博多商人『こいとみ(肥富)』になるチャンスよ!」
A:「ダレ?それ・・・」
B:「今の中国が明と呼ばれていた頃、足利義満に明との交易は莫大な利益を生みますよ!と唱えて明へ使者として行って成功した人よ!」
A:「その人のおかげで国交が復活したの!?」
B:「そうよ!でも交易する代わりに明は足利将軍は明の属国として国王に認めてやるって
屈辱的な事を言われたんだけど!」
A:「へ~怒んなかったの?・・・」
B:「そこが、肥富の説得力と義満の度量よ!国に利益を上げるには些細なことにはこだわってはいけない!って事」
A:「そうか、その勘合貿易が始まったおかげで今の博多の繁栄もあるんだもんね!よし!課長の尻拭いなんて思わずに私自身の、そして会社のためと思って行ってくるか!」
A:「そうよ!そして課長のハナをあかしちゃえ!」
B:「よ~し!いかに課長が仕事出来ないかってことを教えてやるか!」
 SE:背後に咳払い(んっんっん~ん)「お茶が欲しいんだけどね!随分楽しそうだね!!!」(怒)
A・B:「あっ、課長~!!!』


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