二千年の港~博多港ものがたり
第1話~第6話


第1話:1月13日OA

(テーマ)
 古代からの博多と大陸文化の交流は知られていますが、その源流はどこにあるのか、そのプロローグは?
大陸と日本列島は地つなぎであったエピソードから始まります。

(タイトル)古代のロマンを風で知る。
SE:砂浜に打ち寄せらせる波音・カモメ鳴き声

A「ア~冷たくて気持ちのいい風~」
B「今は冬だから・・・この風は大陸から海洋に向かって吹く季節風ね!」
A「ちょっとー折角いい気分に浸っているんだからロマンの無いこと言わないでよ~」
B「何でロマンがないのよ!私はこの博多の地が海をはさんで大陸とつながってるんだな~
ってきがして古代のロマンを感じるわ~」
A「海を挟んで大陸とつながってるっているのは判るけど、何で古代のロマンなのよ!?」
B「あなた知らないの?その昔、この博多港は大陸とつながっていたってこと。」
A「え~っ!それっていつのハナシなの?」
B「今から7万年くらい前のかな?日本はまだ、石器時代の頃なのよ!私たちの祖先は、ナウマン象やオオツノジカを追いかけて朝鮮海峡を渡って今の北部九州に辿り着いたって言われているのよ。」
A「ナウマン象!?」
SE:(PAOOOON:象の鳴き声)
B「そうよ、今私たちが住んでいる福岡の街には象が闊歩していたのよ!」
A「へ~っ、象がいたなんて信じられないわね・・・・でもちょっと~アナタ、やけに詳しいじゃない!」
B「博多の街に住むからには自分の街の歴史くらい知っておくのは当然よ!特に私は昔からアジアの玄関としての役割を担ってきた福岡の歴史と未来に興味があるの!」
A「ちょっと~私にも教えてよ~」
B「今日はここまで!来週は弥生時代から卑弥呼までの中国と博多の話をしてあげる」
A「え~!今日は話してくれてもいいじゃない」
B「だ~め!今日はこれから用事があるんだ~!それじゃ、またね~」
A「ちょっと~用事ってなによ!ねぇ、あっ!男でしょ!ねっ、ちょっと~待ちなさいよ~」

Na:今週からはじまる「二千年のみなと~博多港ものがたり」2000年にもおよぶ港湾都市
福岡の歴史を、毎週土曜日のこの時間に全50話にわたってお届けいたします。
出演はB【矢野代志子】とA【ながのちえ】です。どうぞご期待ください。



第2話:1月20日OA

(テーマ)
 第2話は中国という国が秦の始皇帝により初めて統一され、紀元前の頃より日本といった国と関係があったことを述壊し、みんなが知っている中国史記と照らし合わせて博多(九州)の不思議を紹介します。

(タイトル)不老長寿と永遠の美
SE:雑踏・女性の話声・・ここはマリナタウンのショッピングモール

A「ねえ、次はどこに行く?私はちょっと寄りたいお店があるんだけど・・・」
B「あなたこれだけ買ってまだなんか買うつもり!?」
A「だって~イイものがたくさんあって、ついつい買いすぎちゃうのよね~」
B「だって~じゃにわよ!またどうせ月末になったらピンチとかなんとか言って私に泣きついてくるでしょ!もう帰るわよ!」
A「あっ!じゃあ最後に観覧車に乗ろうよ、博多の街が一望できて素敵らしいわよ。」
SE:観覧車が回る音
A「きたきた、さっ乗るわよ!」
A/B「わあ~キレイ!」
A「何だか中国大陸が見えそうね!な~んて見えるわきゃないか・・・へへ」
B「でも秦の始皇帝は大陸から日本が見えたって言う文献が残っているわよ!」
A「秦の始皇帝!?」
B「そう、あの司馬遷が書いて中国の古い歴史書の『史記』にはっきりと書かれているわ!たぶん蜃気楼の加減で見えたんじゃないかって言われているけど真相は明きらかじゃないわ・・・」
A「へ~っ、でもその蜃気楼が何で日本だってわかったの?」
B「その頃始皇帝に仕えていた徐福って人が日本の事を指して『あの山は蓬莱山といって、仙人が住む山です』って言っの!その徐福って人は稀代の詐欺師とも言われてるんだけどね・・・・」
A「えっ何で?」
B「不老不死を常日頃願っていた始皇帝に徐福は、『日本には不老不死の薬があるからその薬を宝物を交換に貰ってきます』とかいってある日、男女の子供数百人と莫大な宝物を持って船出したの!でも結局はそれっきり始皇帝のもとには帰ってこなかったんってことだから、最初っから始皇帝を騙すつまりだったんじゃないかって言われているの!」
A「へ~そうなんだ~」
B「その徐福の行き先には諸説色々あるんだけど、日本海側のどこかの街にたどり着いて一生を日本で終えたみたい!でも地理的に言って九州をいう可能性が高いみたい」
A「え~っ!じゃあこの博多かもしれないってこと?」
B「そう!現に佐賀県の金立には徐福が不老不死の薬草を見つけたと言われる場所もあるくらいだから、紀元前から大陸と日本は密接な関係にあったって言えるわね!」
A「私もその徐福の薬が欲しいわ~そしてこの若さと美貌を永遠に~!」
B「何言ってんのよ!そんなもの無くてもあなたのその厚塗りの化粧はりっぱに永遠の詐欺じゃないの!」
A「何ですってぇ~!」
B「さっ、着いたわよ!」
SE:観覧車が着いた音
A「ちょっと~!ひどくない!?」



第3話:1月27日OA

(テーマ)
 第3話は博多港を舞台として繰り広げられた『国交』について展開。博多の入り海の形状から卑弥呼が現れた3世紀後半までのお話により『国際港はかたの起源』を説明。

(タイトル)博多美人?卑弥呼
SE:朝の駅の雑踏・電車の走る音・・
SE:発車の笛の音(PIRRRIRIRI)

A「おはよう!(息づかい荒く)ハァハァハァ・・・・」
B「おはよう!ギリギリセーフってとこね!」
SE:電車内の音
A「あ~疲れた!もっと職場が近かったらもっとゆっくり寝られるのに!」
SE:車内アナウンス(まもなく~大橋~大橋です)
B「昔の博多港の地形のままだったら良かったのにね!」
A「えっ!どうゆうこと?」
B「何でも昔の博多は入り海という入り江みたいなものがとっても広くて、今の大橋あたりまで海があったらしいわよ!」
A「へ~っ」
B「ほら、博多駅の南の方に『宮島』っていう交差点があるじゃない!?」
A「美野島のJRのガードのあたりでしょ!」
B「あの『宮島』って地名はその名の通り、入り海に囲まれた島だったことか付けられているらしいのよ!でその対岸にあったのが『塩原』ってワケ!」
A「へ~、じゃあ昔だったら今ある会社も大橋くらいの場所にしか建てられなかったのね」
B「そうゆうこと!・・その博多の入り海に関しては歴史が古くて、西暦1世紀ころ、博多の入り海一帯を勢力範囲としてた「奴」という君は贈り物を通じて中国と交流していたらしいわよ」
A「ナの国って何のこと!?」
B「ほら、志賀島で発見された『金印』に漢倭奴国王ってほってあったじゃない!あの倭の奴の国っていうのは日本の北部九州のことを指しているのよ!」
A「わかった!魏志倭人伝ってやつね!?」
B「そう、魏志倭人伝にはたった数千文字しか書かれてないから詳しいことまでは判らないんだけど、当時でも奴の国は2万もの戸数があったって言われているのよ!」
A「すごいわね!」
B「でもね、その後、奴国を中心をする勢力は、後漢の威信が失墜するとともに衰退していって2世紀頃には大いに国は乱れたみたい。」
A「それで!?」
B「いずれにしても奴国の存在は日本の歴史上とても重要で『国際港はかた』の起源といえるんじゃないかしら!?」
B「なるほどね~」
A「そして、もし魏志倭人伝に記されている邪馬台国がこの北部九州地区のどこかにあったとしたなら、かの有名な『卑弥呼』は博多美人の起源かもね!」
A「きっとそうよ!博多美人の起源は卑弥呼に決まってるわ!そして2千年の時を越えてふたたび博多の地に現代の卑弥呼が生まれてきたってことね!」
B「それダレのこといってんの!?」
A「もちろんワタシ!」
B「あんた、長生きするわ!」

SE:電車扉の開く音



第4話 :2月3日OA

テーマ
第4話は大和朝廷から博多湾沿岸にて大陸との交渉の基地として設置された那の津の
官家が太宰府に移転し、大宝元年の太宰府の確立、そしてその後の鴻廬館の変遷を太宰府天満宮を舞台に展開させます。

タイトル 太宰府から愛を込めて・・。

* 提供クレジット 10゜~
SE:雀の鳴き声
A:「せっかくの休みなのに~朝早くから何で太宰府天満宮までお参りなのよ!?」
B:「ぐずぐず言ってないで、早く来なさいよ!」
A:「あ~あ、お腹空いた~わっ!見て見て!あの梅が枝餅おいしそ~」
B:「いいから~さっさとしなさい!」
A:「もういやっ!何で太宰府天満宮まで来たのか説明してくれなきゃもう一歩も動
かない!」
B:「もう、しょうがないわね!じゃあ、あのお店で焼きたての梅が枝餅でも食べな
がらゆっくり教えてあげるわ!」
A:「やったー!」
SE:店員の声(いらっしゃいませ~)
B:「昨日の夜、太宰府に関する本を読んでたの。そしたら学問の神様と思っていた
太宰府天満宮あたりって、今の博多の街の原点なんだって判ったの!
だから、もう一度改めてお参りに行こうと思ったわけ!」
A:「アツッアツッ アン~っソなの」(口いっぱいに梅が枝餅をほおばって)
B:「ちょっと~真剣に聞いてるの!?」
A:「新たな気持ちでお参りっていうんなら1人で行けばいいじゃない!」
B:「まあまあ聞いてよ、今から1500年くらい前に大和朝廷が博多湾沿岸に『那の津の官家』ってのを設置したのが、太宰府の始まりと言われてるの。」
A:「那の津の官家?」
B:「那の津の官家は九州の統一と大陸との交渉基地として作られたの、だから諸国から穀物をいっぱい運ばせて非常時に備えさせたの!その時の港町としての繁栄が現代の九州の中枢都市・フクオカの第一歩ってワケ。」
A:「ふ~ん」
B:「そしてその後、那の津の官家は太宰府に移転たわけ。そして外交の担当者であ
りながら、九州全体の行政管理者として発展していったの。」
A:「那の津の官家が太宰府に移転したあとの那の津はどうなったの?」
B:「異国にとって那の津は、日本の玄関口といった役割が確立されていって、博多の港はますます栄えていったらしいわよ!」
A:「じゃあ、今のフクオカがあるのも那の津の官家のおかげってわけか!」
B:「そおよ!感謝しなくちゃ!」
A:「じゃあ、その那の津の官家に感謝する意味で今日はお参りに来たって
ワケね!」
B:「そうゆうこと!さ、早くお参りに行きましょ!」
SE:カランカラン(お参りの鈴音)パンッパンッ(柏手)
A:「ねえ、何て願掛けたの?」
B:「ヒ・ミ・ツ!」
A:「教えてよ!ねっ!」
B:「ヒントは2月14日のバレンタインにありってトコかな!?」
A:「えっ、あっ!あなた、今日のホントの目的は恋の成就祈願でしょ!『那の津の官家へ感謝』ってのはいったい何だったのよ~。
ちょっと~待ちなさいよ~」



第5話:2月10日OA

テーマ
第5話は1000年間、歴史の闇に姿を消していた『鴻廬館』について説明。
太古から大陸との交流があった博多の地で、初めて異国を迎え入れる施設として誕生した
鴻廬館は、博多の歴史を語る上で欠かせません。

タイトル 宿泊客は海を越えて。

* 提供クレジット 10゜~ SE:クラッシックBGM・食器を片づける音

A:「豪華ホテルでランチもたまにはいいわね~」
B:「ホントね~!緑に囲まれて、素敵なBGM・・・ほら見て!木漏れ日がとっても綺麗よー」
A:「見て見て!この手長エビ!おいしそーっ、ねっ!早く食べよ!」 
B:「もう!雰囲気くずすな~これから御馳走をいただくって時の環境に無関心なのは 日本人の悪いクセよ!」
A:「な~に言ってんのよ!この美味しそうな博多の海の幸を堪能して何が悪いのよ!」
B:「ざんねんでした~いっとくけど、この手長エビはグリーンランド周辺でしか獲 れないの!」
A:「相変わらず細かいんだから~そんなことどうだっていいじゃない!でも今は新鮮な魚介類が遠い外国からスグ送られてくるからいいわよね~こんな美味しいものが食べられるんだから!輸送技術の進歩に感謝!感謝!ってとこね!」
B:「そうは言うけど、今も昔も異国の食べ物でおもてなしっていうスタイルはあったんじゃ
ないかなあ~?」
A:「えっ、どういうこと?」
B:「ほら、1987年に平和台球場のあたりで発見された鴻廬館ってあるじゃない!?
鴻廬館って今で言う外国のお客様をもてなしたり宿泊させたりする迎賓館だった
らしいから・・・外国のお客様をおもてなしする料理にはやっぱりいろんなもの
を輸入していたと考えられるんじゃない!?」
A:「そっかー!ちなみに鴻廬館っていつ頃建てられたものなの?」
B:「鴻廬館は『那の津の官家』が太宰府に移転した跡の那の津に建ったもので、異国からの使節を接待して宿泊させるには海に面していた方が便利だったことで建てられたわけね。」
A:「外国の使者を宿泊させるからには随分と大きな建物だったんでしょうね~!?」
B:「まだ調査中だからハッキリしたことは言えないんだけど、約100メートル四方っていうから相当な大きさね!」
A:「ひゃ~私のアパートの部屋何個分かな?」
B:「あなたの部屋って8畳ワンルームでしょ!比較するまでもないわね・・」
A:「でも、さっき外国のお客様をもてなすって言ってたけど、どこの国からのお客様が多かったの?」
B:「最初は、唐や新羅からの使節を迎えるものだったんだけど、次第に遣唐使の派遣が盛んになってくると主に彼らの宿泊施設として利用されてきたみたい。」
A:「ふ~ん、まるで、このホテルみたいに国際的だったのね!」
B:「そして貿易は次第に民間貿易の方が隆盛を極めてきて公的貿易の拠点である荒
津にあった鴻廬館は歴史的な役目を終えて貿易の中心は私的な港である博多津に
移行していったの。」
A:「ヤッター!国際的な港町はかたの誕生ね!」
B:「そうゆうこと!」
A:「じゃあ、ここはひとつワタシも国際的に・・・」
B:「ん?」
A:「ヘイ!デザートケーキ.チョコタルト.ワン.モア.プリーズ」(稚拙に)
B:「ちょっと~アンタまだ食べる気~!?」



第6話:2月17日OA

テーマ
第6話は貿易港としてますます賑わいを増す博多港の時代を舞台に、平家の権力地図に巻き込まれていく博多に出来た日本初の人工港『袖の湊』のお話。そして1000年の時を超えて生ま れる新しい貿易拠点『アイランドシティ』をリンクさせて進行します。

タイトル 袖のカタチ。

* 提供クレジット 10゜~

SE:街の雑踏・横断歩道音
A:「見てみて!キレイね~和服はやっぱり情緒があるわね~」
B:「ホントね~もう卒業シーズンかあ・・・私の時を思い出すわ」
A:「私もついこの間の事みたいに憶えてるわ!」
B:「ねえ、ちょっと海でも見に行かない?」
A:「えっ!何で海なの!」
B:「いいから!ちょっと東区の香椎まで付き合って!」
A:「わかったから!ちょっとそんなに引っぱんないでよ!」
SE:香椎浜に打ち寄せる海音・港雑踏
B:「ねえ、あれ何だか知ってる?」
A:「あれって、確かアイランド何とかっていう埋め立て地じゃなかったっけ?」
B:「アイランドシティ!単なる埋め立て地じゃなくて、これからの国際都市フクオカに必要な港湾機能を併せ持った住宅、緑地計画を伴った21世紀の新しい島なのよ!」
A:「そういえば新聞に載ってたわね!」
B:「将来的には交通整備も完備して、都市にほど近い楽園ってとこかな!?」
A:「アイランドシティの事はよくわかったけど、何で卒業式のハナシをしていて、いきなりここまでやって来たのよ!?」
B:「いや、あの街で見かけた和服姿の女の子を見たら急に『袖の湊』の事を思い出しちゃって!」
A:「そでのみなと?」
B:「そう、今から約850年前に平清盛が中国の宋との貿易利権のために人工の港って
いうか島をつくったの!」
A:「ふ~ん、まるで、このアイランドシティみたい!」
B:「袖の湊は、沖の浜、今で言うと博多区の呉服町あたりにあったって言われてて、鎌倉時代の地図にもハッキリと描かれているの!でも、最近になって本当に袖の湊は存在したんだろうか!?ってハナシになってるの。」
A:「えっ!何で?」
B:「地下鉄工事していたら袖の湊があったって言われている場所は昔、陸地だったことが判明したのよ。」
A:「え~っ!地図には描かれてるけど、そこには存在しなかったなんて、何だかミステリアスね~」
B:「そうね!でも袖の湊が実在するものだとしたら目的や規模は違うにしても平安時代のアイランドシティってとこね!。」
A:「で、それが和服姿の女性と何の関係があるのよ!」
B:「いや、その袖の湊の島のカタチが着物の袖に似てるってトコから名付けられたの!
だから何だか急にココに来たくなっちゃって!」
A:「ふ~ん、私はもうちょっと和服姿を見ながら自分の卒業式のシーンを回想したかったな~・・・。」
B:「あなたの記憶も曖昧ね~」
A:「何がよ!」(不服そうに、怪訝に・・・)
B:「あなた、窮屈でいやだって言って、卒業式はスーツだったじゃないの!」
A:「えっ、そうだっけ・・・・・・」(消え入りそうな声)



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